メカ丸の保全日和

生産技術・設備保全の備忘録

生産技術職で活かせるスキルについて

どうもメカ丸です。

 

この記事を読んでいる方は主に転職、または就職で”生産技術”の求人を見ている方が多いかと思われます。ただ自分の持っているスキル、資格が活かせるか疑問になっている方へ今回は生産技術職で活かせるスキルについて紹介したいと思います。

漠然とスキルといってもできる、できないの判断は難しいと思うのでスキル、資格、技能講習に分けて紹介しようと思います。

この記事を見て工業系の学校に行って習った事、前職で取得した資格、技能講習などあれば転職、就職の際は必ずプラスに働くはずです。

 

生産技術の仕事内容などについて書いた記事もあるのでぜひご覧になってください。

 

hozenbiyori-mekamaru.hatenablog.com

 

 

アーク溶接

溶接といっても色々な種類の溶接方法がありますが工業高校などで習うポピュラーな溶接方法は”被覆アーク溶接”かと思います。

沢山の種類の溶接方法ができるに越した事は無いですがアーク溶接が出来れば問題ないと思います。

溶接箇所がかなり多いなどアーク溶接では大変な場合は外注に依頼するケースが多いです。



アーク溶接とは

被覆アーク溶接は母材と同じ金属棒を電極として母材との間にアーク(プラズマの一種で高温で強い光を発する)を発生させ、それを熱源として互いを溶かし溶接する方法です。

メリット

風の影響を受けにくい為、屋内でも屋外でも行えます。また古くから流通している事もあり溶接機本体も比較的安価なもの多いです。

デメリット

溶接後はスラグの除去作業などもあり作業速度が比較的遅い為、溶接物が大きかったり、溶接箇所が多い場合はあまり向いていません。

またある程度の慣れが必要で初心者は講師や熟練の方から教えてもらい練習が必要になります。たまに筋が良く一発でうまくできる方もいますがちゃんと要領を学ぶ必要があります。

技能講習

アーク溶接を仕事として行う場合”アーク溶接等特別教育”を受講し、修了証を取得する必要があります。私も受講しましたが学科が1日、実技で1日くらいの日程になります。テスト、実技テストなども無い為、しっかりと受講していれば誰でも修了できます。実技も全く溶接できなくても講師の方が丁寧に教えてくれるはずです。

アーク溶接は誤った作業方法をすると非常に危険で最悪死に至ってしまう場合もあるので講習内容は危険についてが主になります。また被覆アーク溶接で発生する煙はヒュームといって有害になる為、防塵マスクなども必要になります。溶接といえば面をしている作業が思い浮かびますが溶接のアークを直視すると目が皮膚炎を起こしてしまうためです。

このように注意点が多いためアーク溶接等特別教育を受講し安全第一で作業するようにしましょう。

生産技術でスキルを使う場面

生産技術では現場の環境で快適かつ安全になるように台、棚、梯子などを作成したりします。全てネジ留めにしてしまうと大変な労力となる為、大半を溶接にて作成します。

また現場の生産ラインの機械が振動などにより割れやヒビが発生する際は恒久的に溶接にて補強します。このように生産技術では溶接スキルは非常に活躍する場面があります。入社前にこのスキルがあれば会社側は特別教育、OJT教育の時間が大幅に削減できるため良いアピールポイントになるはずです。

 


 

ガス溶接

会社によりますがガス溶接といっても溶接方法としてはアーク溶接などのほうが主になるかと思います。ガス溶接で特に必要なスキルは”ガス切断””加熱”になります。

私の会社ではアーク溶接と同じくらいの頻度で必要なスキルになっています。

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ガス溶接とは

可燃ガスであるアセチレンガス等及び支燃ガスである酸素を使用してガス溶接等の作業を行います。この可燃ガスと酸素から熱を発生させ金属を溶かして結合させます。アーク溶接に比べ火花が発生しないため溶接部の確認が容易になります。またガス量で調整が効く為、薄い金属などの溶接に向いています。

ガス切断

ガス溶接も同じですがガス切断機を使用します。使用方法はガスを出し火花を出して着火します。点火用のライターがありますが現場などでは火であればなんでも点きます。

私も緊急時用で腰道具にオイル切れで火花だけが出るライターを携帯しています。

生産技術では生産ラインの故障や破損などで干渉してしまう部分などや工場の柱に製作品を設置する際に邪魔な物があればガス切断で切断します。ボンベ2本は多少重いですが大概移動用の台に乗っているはずなので使用箇所に運んでいきます。

グラインダーの切断砥石などより切断面は粗いですが素早く切断出来るため緊急時に適しています。ただ火気厳禁の場所や粉塵が多い場所などでは危険な為、注意しましょう。

加熱

ガス切断機の炎は溶接や切断だけでなくバーナーとして加熱に使うことも多いです。市販のバーナーよりも温度が高いので対象物を損傷してしまうリスクもあるので注意しましょう。

よく使う場面はOHや現場対応時に”ベアリング”を付け外しする時です。金属は熱すると膨張する性質がある為どうしても外れない場合はガスの炎で炙り付け外ししたりします。

治具などの制作物に取手を付けたい場合などに丸棒などを炙り金属の曲げたい部分を柔らかくして曲げたりします。赤くなった金属はものすごく熱いのでまずは触れてはいけない事と赤くない部分でも十分に熱いため革手などを着用し作業しましょう。

技能講習

ガス溶接の作業を行う上で"ガス溶接技能講習"を受講し、修了証を取得する必要があります。アーク溶接特別教育と同様に学科、実技があります。

しっかりと受講していれば誰でも修了できます。

ガス溶接はその名の通りガスを使用する為、安全に関する内容が多いです。

また実務経験を積むとガス溶接主任技術者免許試験の受験資格が得られます。

仕事上ガス溶接の割合が多い場合は必要になるかもしれません。

生産技術でスキルを使う場面

やはり溶接として使うというよりは切断と加熱を使う場面が多いです。トラブルなどの緊急時、コンベア等に製品が挟まって取れないなどといった時に叩いて外したり、グラインダーで切断しようとしても時間が掛かる為、ガス切断が早いです。

加熱は緊急時も使用しますがオーバーホールや治具製作の時に使用する事が多いです。

いずれも注意すべき点は”火”を使用している為、火災爆発といった災害の危険性も常にあると念頭に置いて作業しましょう。コンベアなどもベルトはゴム製が多いためすぐに火が点いてしまいます。

ガス切断機を使う際はバケツに水を溜めておくなどして引火した際の初期消火できるようにしましょう。


 

旋盤加工(汎用旋盤)

生産技術では治具をよく作成します。その際ベアリングなどを使用する為、軸や穴などの寸法調整が必要な場面があります。

昨今は自動で動いてくれるCNC旋盤やNC旋盤が機械加工の会社で主流となりますが生産技術としては汎用旋盤といった手動で簡易的に加工する場面の方が多いのかなと思います。

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旋盤とは

旋盤は加工物をチャックという回転する土台に取り付けしバイトと呼ばれる工具を回転する加工物に当てて削り、寸法を調整して精密部品を作成していきます。

また段削りなど以外にも穴あけやネジ切りなども出来るため加工の幅が広い為、作成できる治具などの精度も上げる事が可能です。

メリット

ネジ切りはある程度スキルが必要になりますが穴あけのメリットはボール盤などでは加工物の中心をケガキで取りポンチなどを打つ必要があり、手間であり精度も低いです。

ですが旋盤で穴あけする場合は加工物をチャックで掴んで回転させるため芯がしっかりと取れます。また加工物自体を回転させるメリットは内径や外径など微調整したい場合や錆を落としたい時などに紙やすりを当てたりすることで綺麗に磨くことが可能です。

あとちょっと削ればベアリングが入るのに・・・なんて場面多いと思いますが旋盤で軸を掴めれば微調整は容易にできます。

デメリット

工場で働く場合に労働災害で多いのは回転物になると思います。ボール盤なんかは手軽なこともあり気の緩みが出やすく軍手を巻き込んで指を無くすなんて事があります。

私が勤めていた会社でも実際にボール盤で小指を無くされた方がいました。小指を無くしたのが原因で握力が半分ほどに下がってしまい業務に支障をきたし退職されました。

このように回転物を取り扱う際は注意が必要です。旋盤も同様で軍手などは簡単に巻き込まれてしまいます。私自身も以前の会社で鉄パイプの曲げなおしをしていましたが作業の仕方が回転するパイプを油を付けた素手でひっぱりながら直すというやり方でした。今は絶対やっていないやり方だと思います。

ある時パイプが旋盤に引っかかってしまいグニャグニャに曲がって暴れました。私も危うく腕を持っていかれるところでした。

便利ですが危険が隣り合わせである為、注意して作業する必要があります。

資格

資格は"技能検定・機械加工(普通旋盤作業)"という資格があります。3級、2級、1級とありこちらは国家資格となっているので持っていると製造業であれば必ずプラスになると思います。

合格率は3級が70%、2級が60%、1級が50%程になります。

ただその分数時間の勉強、数時間の実技練習では合格が難しいため職業訓練校などでまとまった時間の中で勉強した方が良いでしょう。

十分な汎用旋盤の実務経験があれば3級、2級の実技は合格できるかもしれません。学科はプライベート時間を使う事になりますがそこまで難しくはないかと思います。

実際に私が以前勤めていた会社では汎用旋盤の実務経験のある人が会社で3級を取得していました。

 

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まとめ

今回は生産技術に活かせるスキルを紹介しました。生産技術は業務の幅が広い為、まだまだスキル(資格、技能講習etc)はありますがとりあえず私が持っていて実際に業務で活きているスキル3つを紹介しました。

私も勉強が年々辛くなってきましたがまだまだ資格を取る予定です。

 

ではまた